Vol.11 紬
文化交流用の着物
母のワードローブには、着物があった。
海外に暮らしていたころも、母のワードローブには、着物があった。
いくつかは紬の着物だったと思う。貸しても気にならない、丈夫でざっくりとした織りの着物。それを母は文化交流用として使っていた。
海外には、インターナショナルないけばなクラブというものがあって、母もそのひとつに属していて、わたしもときどき一緒についていった。
いけばなだけでなく、日本文化の交流会のような集まりにもよく参加した。
色々な国の人が集まる、そういう場があって、機会があれば、母は誰ともなく着物を着せてあげることがあった。
帯を結んで、衿を整えて。外国の方が着物を纏う。着ている人のすこし誇らしげな感じが、見ていて好きだった。
紬という布
紬は、庶民の普段着として生まれた布と聞く。農家が出荷できなかった繭を使って、家族のために織ったらしい。身近に感じるのも納得だ。
わたしにとって、紬にはジーンズのようなイメージがあって、強くて素朴なおしゃれ感を感じる。
丈夫で、多少のことでは傷まない感じ。貸しても、畳んでも、またちゃんと元に戻る。
紬の着物は、文化交流で大活躍だった。親しみやすい布の代表かもしれない。
布は記憶になる
わたしは、外国の方と着物を介して交流を深める場面を経験してきた。
言葉は通じなくても、布を通してわかりあえることもある。はじめて見たときの驚き、手触り、重さ、纏ったときの感覚。着物に袖をとおして、感動する。その場にいる人たちと、体験をわかちあいながら喜び、その日が忘れられない思い出の日となる。
エルエルポウズで日本の伝統布にこだわるのは、わたしにも、そういう体験や記憶があるからかもしれない。
布は記憶になる。
もしかしたら、今日もエルエルポウズのペットアクセサリーを通して、日本の布に出会ってくれている人がいるかもしれない。それはあの、あの交流会でみた景色とにているかもしれない。
エルエルポウズは、日本のみなさまに、誇りを胸に伝統布をたのしんでいただきながら、海外の方にも、忘れられない記憶にしてもらえれればと願っている。