Vol.4 浴衣
紺地の朝顔
わたしのお気に入りの浴衣は、紺地に大きな朝顔の柄だ。
それは、高祖母が仕立てた浴衣で、母から譲り受けた。朝顔の花は少し昭和レトロな大きさで描かれていて、現代の感覚からするとすこし派手なくらいだが、それがとてもいい。紺の地色がしっかりしているから、花の存在感が映える。
明治生まれの高祖母は和裁士だった。気に入った反物があれば着物や浴衣を仕立ててもらえたと母は言う。だから家には代々の着物が何十枚もある。海外で育ったわたしにも、そうして着物にふれる機会が与えられた。ありがたいことだと思う。
高祖母はわたしに会ったことがない。それでも、仕立てた布はわたしのところまで来た。
受けたことを、先に
受け継ぐということは、思っている以上に奇跡のようなことだと感じる。
布は劣化する。虫食い、色褪せ、水染み。何十年も生き延びてこちらに来るだけで、それはすでに奇跡の連続だ。さらにそれが、人から人へと渡っていく。意図があったり、なかったり。でもどこかで、誰かが大切にしたから、ここにある。
受けたことを先に続けていきたい。そんな気持ちが、浴衣を手に取るたびに湧いてくる。
夏の小さな装い
猫が浴衣を着ることは難しい。でも、小さなバンダナや和リボンなら、夏の装いができる。
浴衣らしい大柄の生地を、小さなアイテムに仕立てるとき、柄の一番いいところをどこに持ってくるか、すこし時間をかけて考える。大きな朝顔がひとつ、さりげなく顔を出すような位置に。それだけで、夏になる。
愛猫と、日本の夏をお楽しみください。