Vol.3 讃岐のり染

Vol.3 讃岐のり染

本質にふれること

わたしは海外で生まれ、数か国で育った。

第一言語は英語。第2言語として、滞在した国ごとに、現地の言葉も学ぶことになった。韓国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語。

それでも、家では日本語だったから、母語は日本語。ただ、その日本語は、日本の地で身についたものではなかった。

だから、日本の伝統にも「ふれること」をとても大切に思うようになった。

知識として学ぶより先に、実際に見て、手に取って、感じる。それが、自信に繋がることを理解していたのだと思う。

わたしは、大学入学を機に日本に帰国してきたのだけれども、その大学の研究で、香川県の200年を超えた伝統的工芸品、讃岐のり染に出会うことになった。

そして、エルエルポウズのバンダナも染めてもらうことになった。

 

獅子舞の油単と空

はじめて讃岐のり染に最初に出会ったのは、屋外だった。

獅子舞の油単が、青い空にはためいていた。

のり染という技法で染め上げられた大きな布が、風をはらんで揺れる。

鮮やかな色と、力強い線。お囃子の音が重なって、一枚の布がまるで生きているように見えた。

布に意味がある、ということを体で知った瞬間だった。

 

文化はふしぎと繋がる

大学生のとき、はじめて日本の桜を見た。

それまで住んでいた国にも桜の木はあったから、まるで桜を知らないわけではなかった。子どものころから、桜といえば日本の春と、日本に想いを馳せることもあったと思う。

それで、いざ本物の桜を見たとき、初めて見たという感動と同時に、懐かしさも覚えた。

はじめてなのに、はじめてでない感じがしただけでなく、懐かしくなった。

知らないあいだに積み重なった豊かさが、ある日ふしぎと繋がる。

 

讃岐のり染の桜バンダナ

桜の絵に染めていただいたエルエルポウズの讃岐のり染のバンダナ。

初めてにもかかわらず、なぜか懐かしいと感じる、うれしい魔法がある。

これが文化の力だと思う。

だから、伝統布はおもしろい。

わたしたちには、愛犬愛猫がいて、その伝統布のアクセサリーを着けてくれるのだから、なお楽しいのだと思う。